18号「家族」

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シニアかわら版18号(2011年3・4月)
シニアかわら版18号(2011年3・4月)

 

・家族この難しきもの-武蔵野大永田先生に聞く-(1面)

わかっていそうでどこか難しさを抱える「家族」関係。なぜ難しくて、どうしたらシニア生活がうまくいくのか。武蔵野大学非常勤講師で家族関係論を担当する永田夏来さん(家族社会学)に、シニア男性3人が聞きました。


 ―無縁社会を映して高齢者の孤独死が社会問題化しています。

 「結婚して子どももいる人の孤独死は、今までの社会が想定していなかった事態ですね。昔は共同体の中で救われたが、今は家族が孤立した状態に置かれている。人口流動化で、集合住宅などで入居する年齢層が違ったりすると他人との接点がつくりにくい」 ―家族がいないとか、連れ合いを亡くし一人暮らしの人もいます。 「身近な人と仲よくすることです。近所の人でなくても、サークルなどに参加して人づきあいを広げていく。過去を物差しにして今を測るのではなく、今の物差しで今を決める生き方が大切だと思います」 

 

前例ない長寿時代を生きる

―平均寿命が延び、シニア夫婦も二人で生活する時間が長くなると摩擦も生じがちです。

 「みなさんは今までにない状況にある第一世代です。退職後の人生が20年も30年もある。前例がないから上手な過ごし方を自分たちで編み出していかなければなりません」 「若いころならば、仕事と家庭の分業は夫婦でちょっと打ち合わせするだけでうまくできた。『性別役割分業』が働き、周りの人の生活も参考になり対処できた。しかし子どもを育て上げ、ローンも返済してゴールが見えなくなり、夫婦二人だけになると、お互いに相手を見るしかなく、なにかがうまくいかないと相手のせいになってしまう」 「『どうすればいいのかがわからないのは当然』という前提に立っていただきたい。自分や相手を責めず、どうしたらいいかをみんなで考えることが大切です」

 

 ―男性側にも苦労が多いようですが…。 

「男性は、女性がマネジメントしていた領域に入るわけですから大変でしょう(笑い)。そこで奥様方が自分の城に異分子が入ってくるという考え方をするとトラブルになる。ここは奥様方のほうが、今までとは違うんだと考えることが必要でしょうね。部屋の模様替えをして男性の居場所をつくってあげるなど、目に見えてわかるようにすることを勧めています。男性は、同じ趣味を始めるとかをきっかけに、ジワジワと自分の居場所をつくっていくのが現実的な方法と思います」

 

 多様化、出せぬ「見立て」

 ―「家族」を考えることが難しいわけは。

 「一つは、世代によって経験が違うことです。離婚、共働きは珍しくないし、分業は崩れ、年齢などでも切り取れない。もう一つは家族の概念が拡張されたこと。今はペットも家族とされるなど実態が多様化しました。その結果、家族とはこうだという見立てが出しにくい状態になっています」 

 

―これから、家族はどうなっていくのでしょう。

 「シェアハウスで暮らすとか、趣味を同じにする人同士が一緒に暮らすとか『夫婦と子どもが基盤』から、人間関係を広くとらえた『家族的』なつながりが社会の中で重要な機能を果たしていくのではないでしょうか。」 

 (有馬、佐藤、三浦)

 

・それぞれの家族(2面)

・幸せいっぱい、大正の少女期-100歳の政田さん。(3面)

・後藤新太郎さんシリーズ③ 97歳、水上自転車にユメ乗せて(3面)

・とんぼのめがね-平成版伊達騒動?に思う(4面)

 

☆「97歳、水上自転車にユメ乗せて」を合成音声で読み上げる

<読者の声>

先日のフェスティバルでも感じたことでございますが、きらっと
シニア倶楽部さんの西東京市での存在感と影響力は本当
にすごいと実感しております。

今後、ますますのご活躍を祈念しております。

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