10号「介護」

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シニアかわら版10号
シニアかわら版10号(2009年11・12月)

・穏やかに普段のまま暮らすグループホーム「ばぶちゃんち」(1面)

 吹き抜けの明るい居間。ソファーに腰掛け、テレビのワイドショーに見入る人たちがいれば、少し離れて編み物に夢中の女性やノートになにやら書き込んでいる男性――。

 それぞれが日常を暮らしているような光景が広がっていました。 西東京市で最も早くグループホームを開設したNPO法人「サポートハウス年輪」が今年2月、東大農場西隣の住宅地、緑町1丁目にオープンした2カ所目のグループホーム「ばぶちゃんち」。

 

 グループホームは認知症の人たちが少人数で、家庭的な雰囲気の中で共同生活を送る場所です。

 ばぶちゃんちには80代の男性2人、女性7人(うち夫婦1組み)が暮らしています。九つの部屋は1、2階に分かれ、すべて個室。1部屋の広さは5・5畳です。合計7人のスタッフが日中3人、早朝・夜間2人、夜勤(夕方5時~翌日午前10時)の体制で利用者の生活をサポートしています。

 

 スタッフに聞くと、テレビ番組は時代劇、スポーツ、動物ものに人気があり、チャンネル争いはないとのことです。女性の編み物を見ると、素人目にも形が崩れていましたが、ご本人の気持ちはとても落ち着いているのだそうです。男性のメモをのぞかせてもらうと、日時と「くすりをのむ」といった短い文が読み取れました。でも、年号が時々違っているそうです。

 

 ポットから急須に湯を注ぎ、みんなの湯飲みにお茶を入れようとする女性もいました。誤ってやけどをしないようヘルパーさんがそばについています。

 食事はすべてスタッフが作りますが、ゴマをすったりモヤシのひげ根を取ったりと、お手伝いを買って出る利用者もいるそうです。ただ危険と思われる作業は代わりのものを探し、好意まで取り上げないよう心がけていると言います。

 生け花や写経、プランターでの野菜作り、洗濯物の取り込みなどの様子はスライドで見せてもらいました。花見やお茶飲み会などの集団行事もあります。

 

 一方で、スタッフは常に気が抜けません。とくに不意の外出は転倒や過度の疲労の危険があるので、帽子をかぶるなどの前兆を素早く察知し、さりげなく付き添ったり、場合によっては相手を傷つけない口実をつくって外出をあきらめてもらったりするそうです。

 ばぶちゃんちのリーフレットには、認知症の人に対するケアで最も重要なこととして「のんびり・ゆったり・マイペース」がうたわれています。陰にいい仕事があってこそですね。

 

  ばぶちゃんちは、年輪を立ち上げる前からのメンバーで理事の阿部千寿子さんが72歳で亡くなるまで住んでいた自宅を全面改装。

 阿部さんの7回忌を終え、息子さんが約200平方㍍の敷地の提供を申し出てくれたといいます。ホームの名前は、阿部さんのお孫さんがおばあちゃんを「ばぶちゃん」と呼んでいたことからつけられました。利用料金は月額約15万8000円。

 西東京市では、年輪がマンションの一部を改修して2003年1月に開設した「ねんりんはうす」がグループホーム第1号。グループホームは市内に全部で6カ所あります。

      (谷戸町・三浦)

 


・我が家で介護が必要になったとき~認知症と向き合うコツ(2面)
・困ったときの地域包括支援センター(3面)(4面)
・介護の仕事と母の介護(5面)
・消えた笑顔取り戻した(6面)
・シンポジウムよみがえる脳をめざして~認知症の予知と対応(7面)
・訪問マッサージをご存じですか(8面)

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