2011年新春・号外

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2011年新春・号外
2011年新春・号外

生活力アップへ二つのフォーラムを開催。「心の健康」と「介護」。

ゲストの講演要旨とワークショップ参加者の感想が語られている。 

 

・「『遊び』で治す心の病」~賀陽濟さんの話から~(1面)

 きらっとシニア倶楽部は、「シニアの生活力アップフォーラム」を西東京市市民会館で開きました。1回目(10月4日)は「シニアの心の健康」をテーマに、精神科医で田無神社宮司の賀陽濟さんが、2回目(11月1日)は「介護を考える~その時どうする、介護と家族~」と題して東海大学看護学科教授の柳原清子さんが講演。さらにテーマについてのワークショップもありました。 

 

賀陽濟さんの話から 「ある日の編集会議」の寸劇を受けて、賀陽先生の話は「劇は遊びにつながります。プレーイングは遊ぶことなのです」と始まりました。 そして、やすらぎについても、「勤勉がやすらぎにつながるのです。ゆとり教育からは、やすらぎは生まれません」と話します。 「現代の病理の一つは、価値が語られていないこと。価値観が顧みられていないことです。近代の理性中心主義や合理主義、それを最も踏襲してきた戦後の日本。価値といえば、お金。近頃、やっと他の価値が認められてはきましたが、3万人の自殺者、10人に1人がうつ、など、生きがいを軽視し、大事にしてこなかった戦後の社会の結果です」 一気に話し、準備してあったスライドに向かいます。

 

スライドは、アインシュタインが舌を出している、あのおどけた写真、ムンクの「叫び」、「鳥獣戯画」など、話の展開に沿った古今東西の写真や絵画をはじめ、旧東大農場の桜、田無神社のお祭り、なかには先生の奥さまやペットのポメラニアンの写真まであり、会場の皆さんの表情には、自然とほほ笑みが浮かんできます。 先生は穏やかな口調でにこやかに話しかけます。しかし、ここぞという時は、はっきりと強調されます。「皆さんに健やかになってほしい。これだけです!」 「素敵なシニアライフを送りましょう!」とのメッセージは何度か繰り返されました。

 

 話は「子どもについて」に移ります。「西欧では、子どもは〝小さな大人〟として扱われてきました。ですから、西欧には、子どもが遊ぶ絵画は出てきません。しかし、日本では子どもは慈しむものでしたから、昔から子どもが遊ぶ絵画がふんだんに残されています。特に江戸期の子どもには『遊び』がたっぷりありました」 「子どもはなぜ遊ぶのでしょう」。話は核心に近づきます。「遊びは癒やしにつながるのです」「遊べるようになることが目標なのです」 「皆さん、遊べていますか?」 先生はやさしく問いかけます。そして「センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さを感じる感性」にも触れます。「これも日本人にとっては当たり前なんですね」 「現代の心の病、これを治すのは、『遊び』です」。そして、「遊びは『癒やし』につながり、癒やしとは『子どもがえり』です」。「遊び=癒やし=子どもがえり、が心の成熟をもたらします」「心が成熟するとゆとりが生まれ、やすらぎにつながります」。かみ砕くように、何度も繰り返しました。 

 

心がゆったりした、やすらぎに満たされた1時間でした。

      (北町・五十嵐)


・やすらぎのとき 十人十色「こころの健康」ワークショップ(2面)
・「自助・互助・扶助」総動員を~柳原先生「介護」の話しから~(3面)
・遠くの血縁より近くの地縁~「介護」のワークショップから~(4面)

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