15号「おひとりさま

画像をクリックすると紙面(PDF)がみれます。

シニアかわら版15号
シニアかわら版15号(2010年7・8月)

 

・社会資源をフル活用 86歳 向台町の深井さん(1面)

 日中は出かける このひと、どこかで見かけたことがある!と思った方もいるのではないでしょうか。向台町4丁目の公営住宅に住む深井峰雄さんです。深井さんは日中、自宅に居ることがありません。どんなに天気が悪くても朝7時・8時には家を出て、どこかひとの集まる場所に出かけます。 

 

行き先は、図書館・公民館をはじめ、あちらこちらで催されているいきいきミニデイなどです。公民館のチラシなどで知った催しにもよく出かけます。 どうして家に居ないのかを尋ねると、「家ではすることがない。図書館で本を読んだり、いろんな人と話をしたりして過ごすほうが何かあったときも安心ですからね」と言います。家ではすることがない、というのにはもう一つの理由があります。数年前からペースメーカーを装着する事情が生じ、電磁波を避けるためにテレビを見ない、電子レンジを使わないといった生活に変わったことです。 そんなわけで深井さんの頭には、今日はどことどこが開いている、どこどこは休みだというデータがびっしりと詰まっているのです。住まいから近い武蔵野市の公共施設もよく利用しています。

 

 本を読むことが好きで、田無・柳沢・谷戸図書館のほか、武蔵野市・立川市や国・東京都の図書館にもよく出かけます。探している本があると市内の図書館の職員が親切に調べてくれ、在りかのわかった本を借りるために立川や都区部まで出かけることもあるといいます。 胸ポケットにはいつも身元の分かる手帳を入れていて、不測の事態が生じたとき、かかりつけ医の連絡先や持病、服用している薬の情報などが分かるようになっています。 お金のかからない生活ぶりも見事です。移動手段は主に徒歩とバスですが、都内のバスは全て無料です。有料の交通機関も身障者手帳を所持しているので半額で済みます。 行き先も公共の施設がほとんどで、まさに社会資源をフルに活用しての日常生活です。食事はすべてパンなどの買ったものか外食で、光熱費もほとんどかかりません。 いつものお供は写真にも写っているキャリーバッグです。なかには衣類や途中で買った食べ物などが入っていて、帰りがけに買う翌朝用のパンなどを入れたりします。 また、バッグにはひろげると腰かけになる器具がついていて、歩き疲れたときやバスを待つ間に利用するのだそうです。 毎日出歩くので、いつの間にか行く先々に顔見知りができます。田無公民館でこの取材をしているさなかにも、近づいてきたひとが「これ読んで」と本を渡していきました。 

 

3年前から深井さんのお気に入りの行き先に加わったのが、小平市にできた公共施設「こもれびの足湯」です。ここに75回通い詰めたところ、「主治医が驚くほどの健康体に変わっていた」とうれしそうに話します。 奥さんと死別して十数年。毎日を社会資源である公共施設、公共の乗り物を利用し、地域の人たちに囲まれて過ごす術を築き上げた深井さんの見事な生きざまに敬服。 

     (向台町・有馬)


・夫の遺影と登山し「区切り」。夫の遺言?で老人会役員に(2面)
・愛する相手、今も大切 78歳 田無町の山田さん(3面)
・トンボのめがね。「せせらぎ公園」で孫と遊ぶ(谷戸町 内田) 
 まちの声(4面)

 

<読者の声>

リタイア、夫・妻との死別等で西東京市にも「おひとりさま」の方が少なくないと存じますが、その方々がいろいろ工夫されて充実した生活を送られていることが、伝わり、勉強になりました。ただ仕事の関係で、そのような人をどのように一人でも増やしていくのか課題であることも実感した次第です。
次号も楽しみにしております。今後とも宜しくお願い申し上げます。

 

戻る